CEOビジネスレビュー
CEOビジネスレビュー
CEOメッセージ
株主の皆様へ、
残念ながら、2024年度はグループにとって良い年と言うことはできませんでした。
香港不動産投資プロジェクトは、かつてはグループの不動産投資ポートフォリオの貴重な収入源でした。最初の3プロジェクトにおいては、グループは合計17.5百万米ドルの出資を行い、合計42.7百万米ドルの資金を回収し、約25.2 百万米ドルの純利益を計上しました。しかし、2019年以降、香港は幾多の困難と高金利のマーケット上の問題に直面しました。商業用不動産売買市場は大幅に悪化し、竣工後の香港不動産投資プロジェクト第4号~8号の販売では、値引きを行っても販売できない極めて厳しい状況が続いています。結果としてグループが出資しているコンソーシアムが現在の市場でプロジェクト不動産を売却し、コンソーシアムのローン債務を返済した場合、投資資本全額が回収不能となる可能性が高いことが明らかになりました。そのため、香港不動産投資プロジェクトについては全投資額31.0百万米ドルの時価評価損を計上致しました。香港不動産投資プロジェクトに関してはグループからの出資金以外は対外保証を含む偶発債務はなく、資本の追加コミットメ ントも行っておりません。
船舶部門については、当社のエグゼクティブチェアマンである棚元が2023年度のメッセージで述べたように、グループは、より新しい船舶を購入し収益効率を高めるため、29千積載重量トン型ばら積船の売却機会を模索してきました。実際、2024年度には、29千積載重量トン型ばら積船のうち2隻、M/V Vitoria HarbourとM/V Uni-Challengeを売船しました。その結果、用船料収入は14%減の32.5百万米ドルとなり、船舶保有/チャータリングセグメントからの利益貢献は5.1百万米ドルと昨年度比減少となりました。しかし、これは移行期であり、グループはこれら売船による収益をグループが18%を出資する共同投資形態で保有するばら積船舶取得に充当しています。これらの共同投資形態で保有するばら積船は、グループが全額出資形態で保有する船舶ポートフォリオよりも建造年が比較的新しく、また、これらの船舶は引き渡し以来グループが管理してきたため、船舶の信頼性は十分に把握しています。またグループは2025年1月9日に株主の承認を得た後、2025年2月25日付で、グループが18%を出資するOlive Bulkship S.A.から57千積載重量トンのばら積船、M/V Kellet Islandを取得致しました。本取引により、グループのM/V Kellet Island の保有比率は75%となりました。また、Olive Bulkship S.A.への投資から1.5百万米ドルの時価評価益を計上しました。結果、2024年度船舶部門は5.8百万米ドルの利益となりました。
次に日本の不動産投資セグメントについて、小規模住宅開発プロジェクト「ALERO」シリーズが引き続きグループの主力商品となっています。2024年度には、10件の新規プロジェクトが開始され、16件のプロジェクトが進行中です。同時に、子会社であるユニ・アジア キャピタルジャパン株式会社(以下、「UACJ」)は、全国8都道府県で20棟の障害者向け日中サービス支援型グループホームのアセットマネジメントを受託し、アセットマネジメント事業を拡大しています。さらに、UACJは2024年度に3件目となるプライベート・ファイナンス・イニシアティブ事業(以下、「PFI事業」)の開発・運営業務を落札しました。これは、今後、同様のPFI案件のさらなる獲得に道を開く可能性を示しています。結果、2024年度の日本の不動産投資セグメントは0.9百万米ドルの利益を計上しました。
前述の香港不動産投資プロジェクトの時価評価損を除くと、グループの利益は2.8百万米ドルとなります。従い、一株当り2.0シンガポール・セントの配当を2025年5月30日に実施すべく、来る年次株主総会にご提案させて頂くことを取締役会で決議致しました。2024年9月に支払われた一株当り1.0シンガポール・セントの中間配当と合わせると、2024年度の配当総額は一株当り3.0シンガポール・セントとなります。
グループの業績は、長年にわたり当社を支えてくださったステークホルダーの皆様の期待に応えるものではありませんでした。そのため、2024年度には、株主への持続可能な配当を目的とした内部収益目標を今後数年間で達成することをゴールとし、大胆な事業変革イニシアティブに着手しました。
この目標を達成するために、次の3つの重点分野からなる戦略的フレームワーク(Goal and Pyramid)を導入しました。
- 1) 顧客と取引件数の拡大
- 2) 新しいビジネスモデルの模索
- 3) スタッフの生産性向上
グループが事業を展開する事業領域ごとに小委員会を結成し、各小委員会には最終的に当社の目標を達成するための小目標を設定しています。変革の道のりは決して平坦なものではありませんが、グループは過去28年の歴史の中で、新たなビジネスモデルを切り開いて参りました。例えば、グループが設立された1997年当時の収入源は、主にアドホック的な仲介手数料とアレンジメント手数料収入でありました。2003年には、グループは初めて船舶投資に進出し、その後のキャピタルゲインと様々な手数料収入をもたらしました。これにより、2007年のシンガポール証券取引所(SGX)への上場に向けた強固な基盤が築かれました。2010年には、日本において小規模住宅開発プロジェクト(「ALERO」シリーズ)を開始し、2022年には、日本においてPFI事業およびグループホーム事業に着手しました。こしたグループの歴史が物語るように、私が自ら統括する現在の事業変革イニシアティブにおいても、グループにとって新たなビジネスモデル開拓が継続できているものと確信しております。
グループの発展を長年にわたりご支援いただいているすべてのステークホルダーの皆様に、心より感謝申し上げます。グループは今、より一層の高みを目指して重要な転換期を迎えており、今後とも変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。